第1章 場合の数 ~すべての場合を数え上げよう~
1-1: 数え方の基本原則(和の法則Sum Rule・積の法則Product Rule)
みんな、確率を計算するためには、まず「ある出来事が起こる場合caseが全部で何通りあるのか?」を知る必要があるんだ。これを「場合の数number of cases」または「事象eventの数」と呼ぶよ。
例えば、「サイコロを1回振ったときに出る目」の場合の数は、1, 2, 3, 4, 5, 6 の6通りだね。簡単かな?
でも、もっと複雑な状況になると、一つ一つ数え上げるのは大変!そこで、賢く数えるための基本的なルールが2つあるんだ。それが「和の法則」と「積の法則」だよ。
和の法則Sum Rule (Addition Principle)
和の法則とは?
いくつかの選択肢があって、「同時には起こらない」複数の事柄のうち、「どれか一方が起こる」場合の数を計算するときに使うよ。「Aが起こる場合の数」と「Bが起こる場合の数」を足し算するんだ。
キーワードは「または (or)」「~か、または~」だよ。
例題1:通学路の選び方
A君の家から学校へ行くのに、バス路線が3通り、電車路線が2通りあります。A君がバスまたは電車を使って学校へ行く方法は全部で何通りありますか?(ただし、バスと電車を乗り継ぐことは考えません。)
考え方:
バスで学校へ行くことと、電車で学校へ行くことは、同時にはできないよね?(どちらか一方を選ぶ)
- バスで行く方法:3通り
- 電車で行く方法:2通り
だから、和の法則を使って…
3通り + 2通り = 5通り
答え: バスまたは電車を使って学校へ行く方法は全部で5通りあります。
例題2:サイコロの目の和
大小2つのサイコロを同時に投げるとき、出た目の和が4になるか、または和が6になる場合は何通りありますか?
考え方:
出た目の和が4になることと、和が6になることは同時には起こらないね。
まず、それぞれの場合の数を数えてみよう。
- 目の和が4になる場合: (大, 小)の組み合わせで…
- (1, 3)
- (2, 2)
- (3, 1)
- 目の和が6になる場合: (大, 小)の組み合わせで…
- (1, 5)
- (2, 4)
- (3, 3)
- (4, 2)
- (5, 1)
和の法則を使って…
3通り + 5通り = 8通り
答え: 目の和が4または6になる場合は全部で8通りあります。
サイコロの目で試してみよう!
積の法則Product Rule (Multiplication Principle)
積の法則とは?
いくつかの事柄が「連続して起こる」場合や、いくつかの要素を「組み合わせて選ぶ」場合に、それらが「すべて起こる」場合の数を計算するときに使うよ。「Aが起こる場合の数」と「Bが起こる場合の数」を掛け算するんだ。
キーワードは「そして (and)」「~して、さらに~」「それぞれに対して」だよ。
例題3:洋服のコーディネート
Bさんが、Tシャツを3種類、ズボンを2種類持っています。Tシャツとズボンを1種類ずつ選んで着るとき、コーディネートは何通り作れますか?
考え方:
まずTシャツを1枚選び、そして次にそのTシャツに合うズボンを1本選ぶ、という連続した選び方だね。 あるいは、Tシャツの「それぞれに対して」ズボンの選び方がある、と考えることもできるよ。
- Tシャツの選び方:3通り
- ズボンの選び方:2通り
積の法則を使って…
3通り × 2通り = 6通り
答え: コーディネートは全部で6通り作れます。
例題4:地点間の移動
A地点からB地点へ行く道が3通りあり、B地点からC地点へ行く道が4通りあります。A地点からB地点を経由してC地点へ行く道順は何通りありますか?
考え方:
A地点からB地点への道を選び、そしてさらにB地点からC地点への道を選ぶ、という流れだね。
- A地点からB地点への道の選び方:3通り
- B地点からC地点への道の選び方:4通り
積の法則を使って…
3通り × 4通り = 12通り
答え: A地点からC地点への道順は全部で12通りあります。
まとめ:和の法則と積の法則の使い分け
場合の数を数えるとき、この2つの法則をいつ使えばいいか迷うかもしれないね。ポイントはこれだ!
- 和の法則: 「どっちか一方を選ぶ」とき。事柄が同時には起こらず、選択肢が並列に並んでいるイメージ。「A または B」
- 積の法則: 「順番に選ぶ」または「セットで選ぶ」とき。事柄が連続して起こったり、複数の要素を組み合わせたりするイメージ。「A そして B」
これからもっと色々な場合の数を数えていくけど、この2つの法則が基本になるから、しっかり覚えておこうね!
このページで出てきたEnglish wordsとその仲間たち
英単語 (English) | 意味 (Meaning) | 例文 (Example Sentence) | 例文の読み上げ | 例文の日本語訳 |
---|---|---|---|---|
Case | 場合、事例 | In this case, we need to consider all possibilities. | ▶ 再生 | この場合、私たちはすべての可能性を考慮する必要があります。 |
Number of cases | 場合の数 | Let's calculate the number of cases for this event. | ▶ 再生 | この事象の場合の数を計算しましょう。 |
Event | 事象、出来事 | Flipping a coin is a simple event in probability. | ▶ 再生 | コインを投げることは、確率における簡単な事象です。 |
Sum Rule | 和の法則 | The Sum Rule is used when events are mutually exclusive. | ▶ 再生 | 和の法則は、事象が互いに排反である場合に使われます。 |
Addition Principle | 加法原理(和の法則) | The Addition Principle helps count alternatives. | ▶ 再生 | 加法原理は、選択肢を数えるのに役立ちます。 |
Product Rule | 積の法則 | Use the Product Rule for sequences of choices. | ▶ 再生 | 連続した選択には積の法則を使いなさい。 |
Multiplication Principle | 乗法原理(積の法則) | The Multiplication Principle applies when tasks are performed in series. | ▶ 再生 | 乗法原理は、タスクが連続して実行される場合に適用されます。 |
Or | または | You can choose tea or coffee. | ▶ 再生 | 紅茶かコーヒーを選べます。 |
And | そして | She is smart and kind. | ▶ 再生 | 彼女は賢くて親切です。 |